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それでは、今回もいよいよ当ブログでの扱いがお菓子のおまけ、しかももう持ってるのに当たっちゃった重複モノ以下になりつつある大河『江』の感想&与太話、その第二十七話『秀勝の遺言』について徒然とお話していきたいのですが…。
第二十七話『秀勝の遺言』あらすじ
■江(上野樹里)は初めての子・完を産むも、夫・秀勝(AKIRA)を失った悲しみから抜け出せず、わが子を抱くことすらできないでいた。
一方、江戸では秀忠(向井理)が家臣・本多正信(草刈正雄)相手に、秀吉(岸谷五朗)の蛮行をあざ笑っていたが、秀勝死去の知らせに、いつになく神妙な表情を浮かべる。
年が改まり文禄2年(1593)、姉・初(水川あさみ)が聚楽第を訪れ、江を立ち直らせようと奮闘する。しかし、江は悲しみに暮れるばかり。
そんななか、江のもとにガラシャ(ミムラ)がやって来る。ガラシャは、本能寺の変以来の自分の不遇、そしてキリスト教への信心によって救われたことを語り、「あなたの強さを信じて」と江を励ます。
そして、九州から大坂に戻った淀(宮沢りえ)と再会した江。淀は再びの懐妊を告げ、「希望を持つのじゃ」と語りかけるが、江はそれでも立ち直れない。
そんなとき、朝鮮から秀勝の遺品と文が届く。「そなたに何も残してやれなかった」とわびる秀勝の言葉に、江は涙しながらも、そっと完を抱き上げる。
そんななか、1592年8月…淀が男児を出産する。
「拾」(ひろい)と名付けられたその子こそ、のちの悲劇の貴公子・豊臣秀頼である。
喜びに沸く豊臣家のなかで、一人不安を覚えるのは関白・豊臣秀次(北村有起哉)だった。豊臣家の跡継ぎを巡って、不穏な風が吹き始めたことを、江も感じていた…。
■さて、今回は二回目の結婚…幸せな蜜月生活もたった一話で寡婦、しかも亡夫の娘を出産という見ていて鬱になりそうな展開でしたが…――。
諦めかけていた待望の第二子・拾(後の豊臣秀頼)を授かった秀吉(岸谷五朗)の、まるで秀吉晩年の狂気振りをデニーロアプローチしたかのような見事な感情表出・狂喜を演じきっていたのに対し、
江(上野樹理)の最愛の人を失い自失茫然、恍惚の人になったかのような表情…主要人物の陰陽がくっきりと出た回だったように思います。
『秀頼が気に入らない者があれば、構わないから死ぬまでぶん殴れ。』
とは、我が子を溺愛するあまり天下の覇者たる矜持を失いただの親馬鹿になった秀吉が秀頼に書き送った書状にある言葉ですが、もはや天下統一時の覇気と自信に満ち溢れ、江のにっくき仇敵を演じていた秀吉とは、茶々を生涯かけて守ると誓ったあの秀吉とは、今じゃ別人の様な変わり様。
ですが、これが立身出世、天下人の栄達まで駆け上り終わった男がたどる老醜…登り切ればあとは下るしかない男の横顔として非常に素晴らしいと思います。
時にコミカルさが鼻をつくこともありましたが、やはり豊臣秀吉という人物は歴史物語を強く引き締めてくれますし、そうあってしかるべき好演が出来る名優さんがキャスティングされるべきなんですねえ、やっぱり。
そういう意味では、重要なポストには豊川悦司さんや北大路欣也さん、そして岸谷五朗さんといった実力派を置いた『江』はさすが歴史大河、と言えるのですが…。
…―――あー、その…なんだ。( ;・`ω・´)
岸谷さんの鬼気迫る狂乱振りや、後継者誕生で一抹の不安を禁じ得ないでいる豊臣秀次の表情と、江のただただ上の空な、悲哀の伝わってこない感情色があれな顔とかがクロスマッチされると、ちょっと見ている側としてはテンションに困る。
…―――たしかに江が自失茫然、悲嘆にくれるのはわかりますが…見てきたがわからすれば、なんでそこまで豊臣秀勝と江の運命に涙できるのかのとっかかりが弱い。感情移入しろって言われても話が性急すぎて出来ない物語展開とかの、ギャップが、ねぇ…。
細川ガラシャさんを好演するミムラさんの頑張りや、キリスト教と夫・細川忠興との不和が深刻に、けれどリアリティたっぷりに語られていたこともあわせると…なんだかいよいよ『もっと主人公&脚本演出陣営頑張れよ』と思えて仕方ない、残念な回でした。
【 45点 】
(
;・`ω・´)っll
2011年大河『江』第二十八回 秀忠に嫁げ 感想と解説
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