長宗我部 四国覇者追跡記編】




■平成22年も十一月二十七日となったある日のこと。。
 一年間、幕末歴史ブームを巻き起こした大河ドラマ『龍馬伝』も明日でいよいよ最終回だとかで…高知県では、最後の書き入れ時と観光客相手に大忙し。

■高知県のエネルギーや熱さというのは隣の徳島県に住んでいても肌で感じられます。

 よさこい祭りの隆盛振りや四国の中央であることを日本全国に喧伝する活動力、テレビの企画などでも、高知県は今年一年ほんとうに盛り上がりました。

 先日、旅行TV番組『旅猿』でも四国が舞台として取りあげられましたが、矢部さんや東野さんの視線が向いたのは、徳島県じゃなくって高知県…闘犬センターでした(遠い目。

 さすがは日本最初の株式会社・亀山社中が生まれた高知県といったところでしょうか。 


 そんな高知県に先日、私も…去る十一月六日・七日の二日間、高知県へ出かけてきたのですが…。高知市や桂浜のある長浜市では旅行シーズンでも無いのに観光バスがてんこもり、どこもかしこも坂本龍馬一色でした。


 同じ四国でも、流行に乗り遅れた感のある徳島県と時流の波を乗りこなした高知県ではかくも違うものか、と嘆息しきりの旅だったのですが…

 歴史観光のあぜ道、骨折り損のくたびれ儲けの水先案内人を自認する当ブログのこと、高知県への取材は当然『坂本龍馬』ではありません。


 今回のテーマは『長宗我部』。最近の戦国時代ブームのなかでも特に、女性Fanからの人気を集めた一世一代の戦国群雄であり四国の覇者となった彼の生涯を追いかけていきます。




 といっても、前回企画した阿波三好家と土佐長宗我部家は『華やかな歴史の表舞台』で居続けられなかったという点では、一緒だったりします。

 『龍馬伝』を視聴されていた皆様なら御存知の通り、土佐の大名は山内家。長宗我部家は大名どころか旗本としても名を残すことが出来ませんでした。


 そう、長宗我部家も坂本龍馬同様、『歴史』という名の暴れ川、その流れを変えようと奮闘努力し、その波間に消えていった"報われない英雄"という意味では同胞なんです。

 今回、長宗我部元親を取材対照としたのは坂本龍馬と同じ『報われなかった歴史上の人物』であること、そして前回企画の三好長治同様、努力も空しく滅び去った武将であること。徳島の歴史に影響を及ぼした、ということでも三好長治と同様です。




 ですが、今日の阿波徳島ではすっかり忘れ去られてしまった三好家一族とは違い、長宗我部元親は坂本龍馬と並ぶ郷土の英雄として燦然と輝き、現代の歴史ブームでも特に『歴女』と呼ばれている若い女性Fanから絶大な支持を得ています。なぜなんでしょう。



 今回はその『長宗我部元親』の生涯、その魅力に迫るべく彼と歴史の縁が深い名跡を巡礼していく旅を企画しました。

題して、『長宗我部元親 四国者追跡記』。


 『明智光秀最後の十一日間』以来、久々となる一泊二日歴史の旅を御案内していきます。



 …が。     Σ(・(ェ,,)・っ)っ ビクッ!!



■今回の旅は、ただ長宗我部元親の歴史巡りだけでは飽き足らずに並立企画も立案されています。

 題して、
一泊二日を予算万円で乗り切れるか?



 そう、京都旅行では二泊三日五万円の旅でしたが…今回はなんとそれの1/5、福沢諭吉さん一人でどこまで旅が出来るかという特別企画です。(ただし、高速道路料金と出発前のガソリン補充費は除かれています。それを込みにしてしまうと、とてもじゃないですが一万円旅行になりませんので)


 長宗我部元親が歴史的敗者でありながらなぜ英雄として後世に語り継がれたのかを探ると同時に、自分の財布の紐がどこまで緩まずに済むかの極限にも挑むという無茶振り貧乏企画。

 すみませんが、今回は読者の皆様へのプレゼント企画はおろか(やったことねえだろ)、家族にお土産すら買ってこられません。


 果たして、周防長門は二日間を一万円で乗り切り、その予算で無事に徳島県へ戻って来られるのでしょうか?


 それでは企画『長宗我部元親-四国者追跡記』のスタートです。



【■平成22年11月6日AM5:50頃 自宅を出発。】

 そろそろ晩秋の向こう、冬の気配が迫りつつある霜月の早朝です。今回の出発地点は徳島県阿波市某所の自宅から。


 徳島自動車道・土成Icへと続く道すがらにあるガソリンスタンドで燃料を補充したら、財布の中身はちょうど一万円。
 さぁ、貧乏旅行…じゃない、歴史の夢と浪漫、その実地解析を兼ねた極限旅行の始まりd



 (ガコン!!)


 ん。何か今踏んづけましたですね、愛しのMySweet・すてっぷわごん。

ミラーで確認したら、リアガラスの向こうへ流れていく二車線道路の真ん中に、変なモノが見えた気がしましたが…。



 いきなり凶兆の予感ですか、そうですか…( =(,,ェ)=)



【■平成22年11月6日AM7:30頃 徳島自動車道・阿波P.A】




 京都旅行では結構な長距離を移動した筆者ですが、実は車の運転は『大の』がつかないまでも、異様に苦手です。こまめに休憩を取らないと交通事故を起こしかねないので、阿波P.Aに入ります。



 が、同じパーキングエリアでも名神高速道路の桂川P.Aとはえらい違いがあります。





 田舎の高速道路はこんなもんなのですが…ゴミ箱と自動販売機とトイレ、あとはどこまでも広がる阿波の山裾だけしかありません。


 デジカメの充電セット、ノートパソコンの起動を確認したら…缶コーヒーで一息つけて、再び徳島自動車道を出発です。



これで120¥消費、と…(汗。 





【名称】徳島自動車道・阿波P.A
【住所】徳島県阿波市(上り・下り。) 
【アクセス】徳島自動車道でどうぞ。
【駐車場】あり
【入場料】無料


【一口情報】都会のP.Aと違い、本当の意味で休憩しか出来ないパーキングエリア。あるのはトイレとゴミ箱と自動販売機、あとはおいしい空気だけ。





【■平成22年11月6日AM8:50頃 高知自動車道・南国S.A】
 さて、阿波P.Aから無言のまま徳島自動車道を東進、川之江JCTで高知自動車道に乗り換えたら、険しい四国山脈の中心を突っ切り高知県を目指します。

 先日、少し前に高知県へ出掛けていた支援者の方から

間違っても一般道なんか走って高知に行こうと思わないコト。ためしにカーナビを見ながら、行きだけでも高速道路を乗って…トンネルの数を数えてみろ。とてもじゃないが下道なんか行けないぞ。』と聞かされていたコトでしたが…。



 まさか、高知県にたどり着くまでに30近いトンネルを抜けるとは思いませんでした。
 そして、カーナビに映る一般道路は某藤原とうふ店もびっくりな細く険しい急カーブ続き。


 高速道路乗っといて良かった…とか思いつつ、比較的短時間で高知県入り。高知I.Cのすぐ手前にある南国S.Aで朝食を取ることにしました。




 南国S.A。まだ朝が早かった為、開いていないお店もありますが…御食事コーナーはしっかり営業してました。助かった。


 坂本龍馬がいきなりのお出迎え。

でも残念でした、今回の旅は君目的じゃないんですよ。

はいそこのお客様、『今坂本龍馬を巡らずいつ巡るんだ』とか言わない。  ( =(,,ェ)=)






  さぁて、何を食べましょうか。

 今回の予算は一万円、エンゲル係数が異常に高い私にとって一番高いハードルは食費なのです。
 なんとか低く抑えないと…。

 
モーニングは和食600¥、洋食500¥から。

 払えない額じゃないですが、朝食にワンコイン以上というのは何か気が引けます。

 だって、総予算の1/20以上ですよ?


 
 と、思ったら隣に『ハーフメニュー』なるものが。

…ふむ、これをうまく組み合わせたらたぶん和食モーニングより安価になるはず。



 というわけで、ミニかつお丼300¥とハーフうどん180¥、〆てワンコインで解決。ちっさいサイズといっても結構なボリュームがありましたし、普通においしかったです。御馳走様…。


 お腹がふくれたら、また缶コーヒーを買って…高知I.Cで降り。

 いよいよ本企画の舞台、高知県高知市に入ります。最初の目的地は…さて、どこにしましょうかね…。




【名称】高知自動車道・南国S.A
【住所】高知県南国市岡豊町小蓮(上り・下り。) [Ь088-866-5701
【アクセス】高知自動車道をどうぞ。
【駐車場】あり
【入場料】無料


【一口情報】S.Aですから、当然お買い物や食事が可能。県外からの観光客を坂本龍馬一色でお出迎えしてくれます。規模は…京都の桂川P.Aのほうが大きかった気がしたのは、筆者の気のせいでしょうか…( ・(,,ェ)・)?












■長宗我部元親を祀っている秦神社を最初の目的地に。ここでは、長宗我部家のルーツを知ることが出来ます。

 
日本の戦国武将は"源平藤橘"と言って、御先祖様をたどっていくとたいていの場合、源氏か平家か藤原家、もしくは橘家になるのですが…

 その中でも異彩を放っているのが長宗我部家。

 長宗我部家の御先祖様は、ちょっと変わっているからです。


 長宗我部家の御先祖様は渡来人(とらいじん)という、飛鳥時代に中国から渡ってきた異郷人である秦氏(はたし)の貴族で、秦河勝(はたのかわかつ)だとされています。


 秦氏は文字通り秦王朝の末裔を称する家柄で、秦王朝といえばかの有名な秦の始皇帝が創立した王朝。つまり、長宗我部元親は秦の皇帝の末裔ということになります。

 源氏だ平家だ藤原家だで揉めに揉めたと豊臣秀吉がずいぶんとちっぽけに見える、とても高貴で由緒正しい一族です。
(本当なら、がつきますが。)



 長宗我部家が小さいながら覇者の家系として四国を統一した覇気は、遥か二千年以上前から受け継がれた皇帝の魂がたきつけたのかもしれません。






【名称】  秦神社(はだじんじゃ)
【住所】  高知県高知市長浜857-イ
【アクセス】南はりまや橋から高知県交通「長浜」行き乗車、「長浜出張所」下車後、徒歩約3分
【駐車場】なし/ただし、隣が四国八十八箇所第三十三番札所・雪蹊寺ですので、そちらを利用すれば事実上は無料。/雪蹊寺は後編で紹介予定。
【入場料】無料。


[評価] 
見どころ☆★★…長宗我部元親Fanで、巡礼をするなら☆一個追加。特に戦国歴史に興味が無ければ、普通の神社にしか見えないと思います。
期待度 ☆★★…展示品や歴史に縁のある名跡があるわけでもないですが…参拝されるなら記帳簿は必見かもしれない。記帳された先達の筆跡を読めば、昨今の戦国時代ブームがどういった年齢層に支えられているかが浮き彫りになる。
スリル  ★★★…特筆事項なし。
バリアフリー度☆★★…屋外なので期待出来ないですが、車椅子での境内見学は可能だと思います。


総合評価 長宗我部元親公巡礼の旅ならば外せない聖域のひとつ。雰囲気も悪くないので、お隣の雪蹊寺と1セットにして訪れるのも良いかも知れない。



■次の目的地は、長宗我部元親が初陣の際に戦勝を祈願したという若宮八幡宮。


 若宮八幡宮の駐車場を出ると…さっきと違い、なにやら空が暗い。

見上げると…何やら怪しい雲行きになってきています。




 この土日は高知県の天気が悪くなると聞いていたのですが…せめて今日一日くらい、降らないでいてほしいものです…。( ・(,,ェ)・) 晴れ男なんですけどね、わりと。


 石畳の参道を歩き、大きな石鳥居をくぐると…厳かな雰囲気のする境内、本殿が見えてきました。

 



黒い服を着た初老域と思しきおじさんおばさんズが歩き回って居ますが…どうやら、本殿の奥で何か儀式が行われている様子。



 境内の片隅にあった輪投げ。

 なんで神社の境内に輪投げが…。






 説明書きを読むと、どうやらこれは『槍通す輪』と言うものだそうです。






 長宗我部元親が初陣に臨み、家臣の秦泉寺豊後という武将に槍を教わり、それを一生懸命練習した結果、合戦で大手柄を立てたことに由来する願掛けだそうです。

槍をヤリ通したから『槍通す輪。』( =(,,ェ)=)

 輪に起請文を結わえ付け、離れた距離から輪投げを成功するまで繰り返すのが儀式。成功すれば、御利益が授かるようですが…。


 私も根気がないので、挑戦したほうが良かったのかも。






 神社の参道左右に立つ石灯籠。よく良く見れば、どれも小さな木札を下げています。

 何なんでしょうか…?





 …――長宗我部元親の子孫達、土佐のいごっそうは二十一世紀の今も元気な模様です(苦笑。










 さて、写真も撮り収めたしそろそろ戻ろうかと思ったら…さっきまで人気が無かった参道に露店屋台の列が。どうやら今日は、若宮八幡宮の縁日だったようです。



 なんで、よりによって『予算一万円・一泊二日の旅』で来た日がお祭りなんでしょう。歯がゆい思いをしながら、八幡宮を後にします…。うぅ、たこ焼きか何か、買いたかったなぁ…( ・(,,ェ)・)。



【名称】  若宮八幡宮(わかみやはちまんぐう)
【住所】  高知県高知市長浜6600 [Ь088-841-2426
【アクセス】南はりまや橋から高知県交通「桂浜」行き乗車、「南海中学校通」下車後、徒歩約5分


【駐車場】あり/無料。ただし、駐車場周辺は車両一方通行のため地図での観光時は周辺の道路状況に注意。
【入場料】無料。


[評価] 
見どころ☆☆★…長宗我部元親Fanで、巡礼をするなら☆一個追加。明治時代の廃仏毀釈運動で迫害を受けた数々の神社が終結している。境内の雰囲気は静かで居心地は悪くない。
 根気が無い性分だなと思う方は、『槍通す輪』に挑戦してはどうだろう。
期待度 ☆★★…パワースポットに興味があるなら、参拝して回る価値はあるかもしれない。色んな神様の御利益を受けられますので。
スリル  ★★★…特筆事項なし。ただ、夜に来ると怖そう。
バリアフリー度☆★★…屋外なので期待出来ないですが、車椅子での境内見学は不可能では無いと思います。


総合評価 長宗我部元親公巡礼の旅ならば外せない順路のひとつ。けど、彼に興味が湧かない人にとっては普通の神社としか映らないかも。





■さて、その若宮八幡宮駐車場から砂利道の参道、一方通行であるその小道を走っていると…すぐ左手側に、いやでも目につくほど巨大な銅像があります。


 1999年、長宗我部元親没後四百年を記念して造成された『長宗我部元親公初陣の像』です。


 家臣・秦泉寺豊後守からにわか槍術を教わった長宗我部元親、二十二歳で初陣に臨みます。この二十二歳という年齢、戦国武将の初陣としてはかなり遅い部類に入ります。


 たとえば、当ブログで色々と茶々を入れてくるマスコットキャラ達。

 織田信長の場合だと十三歳で吉良大浜城攻め、徳川家康だと十七歳で寺部城の合戦など、たいてい十代で済ませています。豊臣秀吉は生涯の前半生がいまだ謎ですので、いつなのか不詳ですが。


 初陣が遅れたのは、元親が『姫若子』と陰口を叩かれるほどしんなりしていて、頼りなかったということもありますが…。


 若殿の初陣というのは、余裕勝ちできる戦いに絞られています。






 長宗我部家は小豪族であり、お父さんである長宗我部国親が息子が華々しい余裕勝ちが出来る戦いを模索しているうちに二十台になっちゃった、というのが真相かも知れません。


 長宗我部元親の銅像が左手をかざしています。

 その先にあるのは、ちょうど銅像土台の前に作られた四国絵図。



四国をわが手に掴んでやる!!という意気込みが感じられます。



 徳島県、当時は阿波の国だった所に『三好存保』の名前を発見。

 前回企画『阿波三好家衰退記』で御紹介したぼんくら大将・三好長治の弟にあたります。


 後に、彼が長宗我部元親と四国の覇権を駆けて争うのですが…そのくだりは次回後編のお楽しみ、です。



【名称】  長宗我部元親公銅像(ちょうそかべもとちかこうどうぞう)
【住所】  高知県高知市長浜6600 
【アクセス】南はりまや橋から高知県交通バス「桂浜」行き乗車、「南海中学校通」で下車後、徒歩約5分


【駐車場】あり/無料。
【入場料】無料。


[評価] 
見どころ☆☆★…長宗我部元親Fanで、巡礼をするなら是非抑えておきたい聖地。筆者のヘタな写真だけでは、あの大きさと雰囲気は楽しめない。秦神社同様、近くに参拝者記帳簿があるので、元親公Fanであるなら必見&足跡は残したいところ。
期待度 ☆☆★…まぁ、ただの銅像といえばそれまでですが…見上げるほどに高い台座の上にそびえ立つ若武者の勇壮雄大さは、そんじょそこらのちっぽけな銅像とは一線を隔す迫力があります。
スリル  ★★★…特筆事項なし。
バリアフリー度☆★★…屋外なので期待出来ないですが、車椅子での境内見学は不可能では無いと思います。


総合評価 長宗我部元親公巡礼の旅ならば絶対に外せない聖地。記念写真を撮るなら、ここが最適ではないでしょうか。




■さて、その長宗我部元親が実際に初陣を迎えたのは何処かと言えば…若宮八幡宮を離れ、秦神社からやや南西にある『戸の本』あたり。

 …とは、観光案内にも書かれていたことなのですが…ここがまた、すさまじくわかりい場所にありました。






 何度巡っても分からない。

 途中、秦神社の宮司さんに聞いた話では『川を越えた先にある橋を渡って、すぐの場所にある公園の中だ』と言っていたのですが…カーナビがなければ正真正銘の方向音痴である私にはかなりの難関です。

 
さんざん走り回った末、ようやく『戸の本』という地名にたどり着いたのですが…周囲をきょろきょろ見回しながら走ってもそれらしき影はなし。



 仕方ないので、戸の本団地に御住まいと思しき近所の方に聞いてみたら…小首を傾げながら、庭の向こうを指差しました。



『いや、そこですよ。ほら、公園の隅っこにある…。』



 ( =(,,ェ)=)やっと見つかりました。

 公園の前を二度ほど通り過ぎて居ながら気づかなかったという愚挙。頭のなかで描いていた公園のイメージと違い過ぎて居たので、見落として居たようです。探し始めて一時間以上経ってたので、疲れていたんでしょうか…(苦笑。



 長宗我部元親が初陣で大活躍した戸の本古戦場。敵味方に一日で知れ渡るような大活躍をしたという元親、先ほどの銅像…後ろ髪の長い容姿秀麗な若武者が阿修羅のように槍を振り回して奮闘する姿が目に浮かびます。


 もっとも、石碑周辺はこの通りの閑静な住宅街。

 無心でシャッターを切る三十路のおっさんを、向こうからさっき案内してくれた人が微笑ましそうに見てくれてました。

そんなに珍しいのでしょうか、ここを訪れる観光客。

 まぁ、そりゃそうでしょうねえ。

 高知県まではるばる訪ねてきて、坂本龍馬や幕末ブームとはなんら関係ない石碑一本に血眼になってるだなんて、戦国時代ブームでなければおそらくは、私くらいのものだったでしょう…
'`,、('∀`)'`,、



【名称】  戸の本古戦場跡(とのもとこせんじょうあと)
【住所】  高知県高知市戸の本
【アクセス】南はりまや橋から高知県交通「仁野」「宇佐」行き乗車、「原神社前」下車後、徒歩約10分


【駐車場】なし/戸の本一号公園の前道路、路肩にでも自己責任でどうぞ。
【入場料】無料。


[評価] 
見どころ★★★…長宗我部元親Fanで、巡礼をするなら☆1/2個追加。
期待度 ☆★★…石碑一本、看板書き一本の寂しい光景。まぁ、前回の三好家特集では石碑一本ばっかりだったので悪くはいえませんが( =(,,ェ)=)
スリル  ★★★…特筆事項なし。
バリアフリー度☆★★…屋外なので期待出来ないですが、車椅子での見学は不可能では無いと思います。


総合評価 長宗我部元親公巡礼の旅ならば、抑えておきたい順路。ただし、車で向かおうとするならよほど腕前の良いカーナビか地図が無ければ、迷子Orたどり着けないであろうこと間違いなし。

 そして、その苦労に見合うかどうかは歴史Fanでも少々疑問。






【■平成22年11月6日PM6:30頃。】
■戸の本古戦場をやっとのことで発見して、写真を撮り終え…腕時計を見たら、既に時刻は夕方五時半。
 探索予定は既に総て消化し終えてましたから、本日はこれにて終了にして…夕食を摂ることにしました。




目的地は『和風れすとらん司・高知インター店』。


高知県の郷土料理をおいしく楽しむことが出来る、と前評判を聞きつけていたので…おなかの虫をなだめつつ、カーナビに指示されるまま夜の高知市街を走行。


 途中で『Uターンしてください』と冷静沈着な声にルート指示をされ、思わず『二車線道路でステップワゴンにUターンしろってか!!?』と突っ込み返してしまいましたが、何とか切り替えして…到着。






 御飯時には少し早い時間帯でしたが、商売大繁盛の様子。店の奥にある禁煙席に案内されて…いよいよ夕食選びです。


 昼間に出費を切り詰めていたぶん、夕餉は豪華に。

 少し価は張りましたが、二千円以上の予算で晩御飯を注文しました。けど、これが迷いに迷う。
 高知まで来たなら本場の鰹のたたきだろう。いや、前評判に聞いてたうつぼのたたきも捨てがたい。ぁ、鯨がある。これも豪華そう…。



 結局、思案の末に選んだのは地元鶏のステーキ定食と鯨のカツ。朝にかつお丼を食べていたので、晩は鯨でいこう!!と思い立ったのですが…


 鯨、何といいますか…。目を閉じて知らずに食べたら『ほのかーに魚の風味がする、ぱさぱさした牛肉…?』みたいな雰囲気。

 

正直、500¥にしては期待外れです(500¥で文句言うな)



 まぁ、筆者はかなり舌音痴な性分。

 『マズイ』と判断したのは、今までの生涯で某牛丼チェーン店のカレーくらいという有様なので、あんまりアテにはなりませんが。あと、いくら鯨でもワンコインじゃその程度だったとも考えられます。


 まぁ、鶏肉がおいしかったので平均点以上の満足にはなりましたし、なんとか納得してお店を後にしました。

 明日のお昼は、鯨以外の何かを注文しよう…。


 
【名称】和風れすとらん司(わふうれすとらん-つかさ)
【住所】高知県高知市高そね76-1 
【アクセス】
【駐車場】あり
【ホームページ】http://www.katsuo.co.jp/


【一口情報】高知県の郷土料理を楽しめます。ファミリーレストランのような店構えは気軽に立ち寄れ、高知駅やI.Cからのアクセスも良好。

 ただし、お値段の方はそれなりの値段だった気がします。




【■平成22年11月6日PM7:50頃。】
■夕御飯を食べたら、あとはお風呂。これも事前に調査しておいた銭湯に向かうことにしました。一方通行、ステップワゴンが通るにはかなり苦しい裏路地を縫うように走った高知市愛宕町…その奥まった場所に、紅くきらめく看板が。

 その名も『愛宕温泉』さん。この道五十年以上という長い商売歴を誇る、古い昔情緒の残る銭湯です。

 入ると男湯女湯に分かれている暖簾があって、それを潜れば私の背より少し高いくらいの番台、そしてそこに鎮座するパーマ髪のおばちゃ…いえ、御夫人。


 脱衣所の風情がまた最高に良かったんですよ、昭和を懐かしむこと三十路以上の私にとっては。こんな『神田川』みたいな古式蒼然とした、絵に描いたような銭湯がいまだ残っていようとは。


 喉の先まで『写真を取って良いですか』という言葉が出ていたのですが…御夫人の圧倒的存在感の前、とうとう言い出せませんでした。惜しかったです…ある意味、前編で最高のスポット(暴言)だったのですがね…。


 だって、いまどき『写真館』っていう字が全部旧字の宣伝看板なんてありませんよ?ちゃんと風呂上りのマッサージチェアとコーヒー牛乳もあるし、手ぶらで来てもタオルから石鹸、シャンプーに髭剃りまで揃ってるし。


 不便とか古臭いとかいう感性がかすむような色濃い昭和浪漫のある、私にとっては素敵な銭湯でした。…旅の疲れも汗も綺麗さっぱり。


【名称】愛宕温泉(あたごおんせん)
【住所】高知県高知市愛宕町2丁目10-8 
【アクセス】
【駐車場】あり/無料、一台分。ステップワゴンが本当ギリギリ止められる程度の広さでした。なお、駐車の際は店主に鍵を預けなきゃいけない場合があります。
【入浴料】大人360円/貸しタオル20円/石鹸30円/シャンプー30円/その他色々。


【一口情報】…南こうせつの歌に出てきそうな、町の銭湯です。

この道五十年という長い歴史に裏打ちされた雰囲気は、スーパー銭湯や温泉では到底まねが出来ないものだと感嘆した筆者なのですが…『昭和の匂い』だとか『古き良き時代』とかいうものに共感できないタイプの人には、あんまりお勧めできないかも知れません…
(;=(,,ェ)=)そういうひとには、ただの(以下略)なお風呂でしかない。




■これにて本日の予定は総て終了。既に夜の暗闇が降りた高知市外から長浜へとステップワゴンを走らせると…ちょうど良さそうな路肩に車を止めて(&駐停車禁止区域じゃないのを確認して)ワゴンの後部座席をフルフラットに。

 体が冷めないうちに、布団を被って眠ることにしました…。



                   ぇ、何。

  前の京都編では旅館宿泊を諦めてビジネスホテル行きだったのが、今回はとうとうビジネスホテルですらなくなった理由ですか?



 一泊二日で予算一万円なんです、ビジネスホテルが一泊五千円とすれば…食費が切り詰められても、帰りのガス代が出ません。

 だから、出発前そうそうに『今回は車中泊』と決めていました。


 よって、ステップワゴンの後部座席は寝室です。寝心地も居心地も悪いものではありませんでした。エンジンも切ってましたが、別段寒くもありませんでしたし。




 ただ、その…。真夜中に、誰かがリアガラスをノックしたような気がしますが…まぁ、きっときのせいでしょう。きっとそうです、うん…。( ・(,,ェ)・)


 






■というわけで『長宗我部元親 四国覇者追跡記』前編、いかがだったでしょうか。



 次回更新は二週間後、同企画の後編をお送りいたします。



 長宗我部元親が土佐一国を掌中に治め、ついに四国統一の軍勢を起こします。伊予・讃岐・阿波の諸勢力を相手に元親はどうやって四国制覇の夢を実現させるのか。


 そして阿波三好家最強の武将・十河存保が長宗我部元親の軍勢を迎撃、四国を舞台に争乱の火花を散らします。
 さらには、長宗我部家の躍進を快く思わなかった戦国の覇者・織田信長がついに動く。


 はたして、元親と長宗我部家の運命はどうなるのか!?( ・(,,ェ)・)


■そして次回冒頭で『予算万円・一泊二日の旅』、第一日目の消費金額合計を発表。筆者こと周防長門は果たして、帰りのガソリン代まで含めた残り金額で徳島県へ生還できるのでしょうか?

長宗我部元親 四国覇者追跡記 【中編】





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